呼吸器内科
呼吸器内科
呼吸器内科で診療する病気は幅広く、一般的なかぜからインフルエンザなどの感染症、喘息、気管支炎、肺炎、肺がん、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など多岐にわたります。さらに肺自体には異常を認めない睡眠時無呼吸症候群や禁煙のサポートなども行っています。そのため症状も幅広く、咳や痰はもちろん、胸痛や全身の倦怠感など様々な体調不良が診療対象となります。
呼吸器疾患の初期症状は、かぜと変わらないことが多いですが、その背景には喘息や肺炎など、重篤な病気が潜んでいることもあります。咳や痰、発熱などが続く場合は、自己判断をせず、呼吸器内科の受診をおすすめします。
呼吸器の病気に関して専門的な診療を行っております。
日常的に起こりやすい症状でも、詳細な検査を行うことで重大な病気の早期発見につながることもよくあります。気になることがございましたら、何でもお気軽にご相談ください。
かぜは正式には「かぜ症候群」といって、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、痰などを主症状とする上気道(鼻やのど)の急性炎症の総称です。発熱、咽頭痛、全身倦怠感、食欲低下などを伴う場合がありますが、発熱はあっても微熱程度で、頭痛や全身倦怠感などの全身症状も軽いという特徴があります。原因微生物の80~90%はウイルスが占めており、粘膜から感染して炎症を起こします。きちんと治さないとその後、気管支炎や肺炎に進行する場合もありますので、治ったと思って無理をせず、完治するまで来院されることをおすすめします。熱を含めた症状の経過をしっかり観察することが大切です。
インフルエンザウイルスによる急性熱性感染症で、A、B、Cの3型があり、通常、寒い季節に流行します。感染を受けてから1~3日間ほどの潜伏期間の後に、38℃以上の突然の高熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛などが現れ、咳、鼻汁、咽頭痛などの症状がこれらに続き、およそ1週間で軽快します。主な合併症としては肺炎、脳症が挙げられます。通常のかぜ症候群とは異なり急激に発症し、全身症状が強いことが特徴です。
季節性インフルエンザはいったん流行が始まると、短期間に多くの人へ感染が拡がります。二次感染、合併症の予防のためにも、できるだけ早く受診することが大切です。
咳は気道内にある異物を排出するために起こる体の防御反応です。かぜを引いたときに鼻汁やのどの痛みなどと一緒に咳を経験しますが、この場合、十分な栄養や睡眠をとって養生すれば、多くは3週間以内に治まります。しかし、中には咳がなかなか治らず、長引くことがあります。咳はその期間によって急性の咳(3週間未満)、遷延性の咳(3~8週間)、慢性の咳(8週間以上)の3つに分類されます。3週間以上続く場合、ただのかぜではなく、他の病気が原因になっている可能性があります。長引く咳は原因を特定した上で治療を行うことが大切です。早めの受診をおすすめします。
気管支喘息は一般的に「喘息」と呼ばれています。気道(口や鼻から肺につながる空気の通り道)に慢性的な炎症が生じ、様々な刺激に敏感になり、発作的に気道が狭くなることを繰り返す病気です。このため喘鳴(のどがゼーゼー鳴ること)や咳・痰が出て息苦しくなります。夜間や早朝に発作が出やすいという特徴があり、時に呼吸困難を起こし、命にかかわることもあります。原因としてはチリダニやハウスダスト、ペットの毛、カビなどのアレルギーによることが多いとされていますが、原因物質が特定できないこともあります。発作が起きていない普段の状態から、服薬などの継続したケアが必要になります。
肺炎には細菌性肺炎とウイルス性肺炎、その2つの中間的な性質をもつ非定型肺炎の3つがあります。
細菌性肺炎は、肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌などの細菌が原因で起こり、湿った咳とともに、黄色や緑色を帯びた痰が出ることがあります。
ウイルス性肺炎はインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、水痘ウイルスなどのウイルスが原因で起こり、一般的なかぜの症状に続き、激しい咳や高熱、倦怠感などの症状が現れる特徴があります。
非定型肺炎はマイコプラズマやクラミジアなど、細菌とウイルスの中間的な性質を持つ微生物が原因で起こり、乾いた咳が長く続くことが多いという特徴があります。
医療機関を受診した際は、症状のわずかな違いからでも、病原微生物を推測することができるため、ご自身の症状をわかる範囲で細かく説明しましょう。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、慢性気管支炎や肺気腫などの病気の総称です。主な原因はタバコや加齢といわれています。気管支の炎症や肺の弾性の低下が起こり、呼吸をするときに酸素を失った空気が肺に残ることによって、酸素の多い新鮮な空気を吸い込むことができず息苦しいといった症状が長期にわたり続きます。歩行時や階段昇降など、身体を動かした時に息切れを感じる労作時呼吸困難や、慢性の咳や痰が特徴的な症状です。進行すると呼吸困難を起こし、日常生活に支障をきたします。重症化すると呼吸不全や全身に障害が現れたりすることもあります。
早期に診断を受けて治療を開始すれば、呼吸機能の低下を食い止められ、健康な人と変わらない生活を続けることができます。少しでも軽症のうちに発見して治療をはじめることが重要といえます。
肺気腫とは肺の組織が壊れた状態をいいます。主な原因は喫煙とされており、喫煙習慣がある方に非常に多くみられます。肺気腫はゆっくりと進行し、一度壊れた肺の組織が元に戻ることはありません。しかし治療によって肺気腫の広がりを抑えたり、息切れなどの症状を和らげたりすることができます。
肺水腫は病名ではなく肺に水がたまった状態のことをいいます。原因は大きく分けて「心原性肺水腫」と「非心原性肺水腫」の2種類があります。心原性肺水腫は、心筋梗塞や不整脈など心臓に原因がある場合で、心不全が原因となって起こるものを指します。非心原性肺水腫は、心臓以外の原因で生じるものです。敗血症や重症肺炎、重症外傷、高山病など様々な疾患が原因となり得ます。主な症状は呼吸困難で、とくに仰向けになると息苦しくなるため、起き上がって座りたくなったり、夜中に突然息苦しくて目が覚めたりすることがあります。
肺がんの原因として最も重要なのが喫煙です。「1日の喫煙本数×喫煙年数」の数値が大きいほど、肺がんになる危険性が高くなるといわれています。
肺がんの多くは、初期には発生部位にとどまっていることが多いといえますが、次第に周囲のリンパ節に転移したり、肺内の別の部位、骨、肝臓、脳、副腎などに遠隔転移を起こしたりします。
発生部位付近にとどまっており、手術で完全に取りきれる可能性がある場合は、手術が行われますが、手術が難しい場合などは放射線治療(定位放射線治療)や抗がん剤による治療が選択されることもあります。
睡眠時無呼吸症候群は、大きないびきとともに睡眠中に何度も呼吸が止まる病気です。10秒以上呼吸が止まる「無呼吸」や呼吸が弱くなる「低呼吸」が、1時間に5回以上繰り返される状態をいいます。睡眠中に低酸素状態となり、それが毎晩、年単位で起きれば、心臓・血管系の病気や多くの生活習慣病と関連してきます。古くから高血圧症との関連性が報告されていますが、冠動脈疾患や脳卒中の発症にも関係するとされています。
また、この状態が繰り返し続くと熟睡できず、睡眠不足の状態になります。そのため日中の強い眠気や倦怠感、起床時の頭重感などが現れ日常生活に支障をきたすこともあります。
できるだけ早く治療を始めることをおすすめします。